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きざはし会展 岡 弘美先生 |
岡 弘美(おか ひろみ)先生(人形)
1947年 京都市に生まれる 1968年 京都府立大学女子短期大学部被服科卒業 1985年 人形作家西村喜代に師事 1986年 人形たち展 審査員特別賞受賞 京都クラフトコンペインターナショナル、京展、入選 1994年 京都工芸ビエンナーレ入選 1995年 日本伝統工芸近畿展 京都新聞社賞受賞 1996年 近畿展 日本工芸会近畿支部長賞受賞 日本伝統工芸人形展 東京都教育委員会賞受賞 1998年 日本伝統工芸展 奨励賞受賞 1999年 近畿展 日本経済新聞社賞受賞 日本工芸会正会員
岡弘美先生には今回から参加していただきました。人形はこれまでなかった部門なので、ひとつ入ると「きざはし会展」全体が深みが出てきて素晴らしいですね。今回は先生ご自身にインタビューする機会がなかったので作品の画像を掲載させていただきます。色の見え方が違うのでフラッシュありとなしの画像をそれぞれ掲載します。
「まなざしの行くえ」


「ひだまり」


「玉の緒」


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草木染ワークショップ |
今日は上原晴子先生、津田昭子先生、宮入映先生による草木染めのワークショップです。 この講座はファンも多く、毎回参加されている方もいます。
ところで今日のお題ではなく、染色の原料がこの画像なのですがなんだか分りますか?
黒く丸いのが二つ見えますね。何かの種でしょうか?

いえいえこれは実はサボテンについて繁殖する介殻虫(かいがらむし)という昆虫なのです!! 一般にはコチニールと言って市販されています。先生方がメキシコまで行ってサボテンから捕ってきたわけではないですよ。草木染めっていろんなものを使うのですね~。

この介殻虫(かいがらむし)=コチニールを煮込みます。「虫がふやけると足が出てきたりしますよ」と解説されている先生の話を聞いて、それじゃまるで煮干しから出しをとっている感覚じゃないかと思いつつ、だまって見ていました(笑)

良い色が出来たので、白生地を煮詰めます。

出来たかな?

綺麗に染め上がりました!美しいですね!

最後に記念撮影をします。他のグループもありましたが、時間の関係で帰られました、草木染めは大人気ですね。

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絞り染めワークショップ |
今日は絞り染めのワークショップがありました。講師は足立昌澄先生、伊藤愛一郎先生です。
まずは染めない部分を絞りにします。と簡単に書きますが、これがなかなか大変な作業なようで皆さんデザインを決めて熱心に縫い物をされていました。 縫って絞りをつけた部分が染まらないので、そういったデザインになるのです。


がんばって縫い上げた生地を今度は染めます。それぞれお好きな色を調合してもらっています。決まった温度で染めないと、水で流した後に染め色が流れ落ちてしまうそうです。

染めた後ドライヤーで乾かします。

この後、絞りをはずしたら完成となります。とりあえず記念撮影を!みなさんがんばりました!とってもうれしそう。

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きざはし会展 足立昌澄先生 |
足立昌澄(あだち まさずみ)先生(染)
1959年 神戸市に生まれる 1989年 新人染織展にて意匠賞 1990年 新人染織展にて新鮮賞 2003年 日本伝統工芸展にて日本工芸会奨励賞 日本工芸会正会員認定 日本工芸会正会員 京都工芸美術作家協会会員
今回の先生の作品、何か分りますか?何と南極にペンギンがお散歩している図なのです。かわいい~ですね!「閑歩」というタイトルです。着物でよくあるのが、鶴や普通の鳥は一般的に見られますが、「鳥類がよくあるなら、ペンギンだって鳥類じゃないか」とペンギンに挑戦されたそうです。夏向きの着物ですので涼しさ倍増です。左手にある帯も対になっていてペンギンがあしらわれています。 今回の展示会の中でもひときわ注目を集めていて、みなさんとっても熱心に鑑賞されています。中には「てっきり女性がこの作品をつくったのかと思っていたら、男性と知ってびっくり!」という方もあったそうです(笑)
このように個性をだすという意味では、先生の創作の原点は学生時代に師事された日本画の大家、下村良之介先生(パンリアル美術協会を結成した、前衛画家)にあります。「人と違った個性を出すこと」を教えられ、現在でもその信条のもと、個性的なものを作り続けていらっしゃいます。


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きざはし会展 佐野美幸先生 |
佐野美幸(さの みゆき)先生(織)
1953年 高知県に生まれる 1982年 京都インターナショナル美術専門学校卒業 志村ふくみ氏に師事 1991年 日本伝統工芸近畿展 松下幸之助記念賞 1997年 日本伝統工芸近畿展 京都府教育委員会教育長賞 2003年 日本伝統工芸展 文部科学大臣賞 銀座和光にて「うすはたの会」出品 2005年 イギリスロンドンにて「うすはたの会」出品 日本工芸会正会員

「赤蜻蛉」
子供の頃、今時分によく見かけた赤トンボの風景を思い起こして、この作品をつくられました。たしかに子供の頃の記憶に秋と言えば、赤トンボが群れをなして飛んでいましたね。最近はそういえばあまり見かけない気がしますがどうしてでしょう。幼き頃のノスタルジックな思い出が蘇ってきますね。
佐野先生はシマというか縦の線で表現をされることを得意とされています。特に薄い織物になると縦の線が生きてきますので、美しいですね。

「驟雨」
驟雨とはにわか雨のこと。ちょうど秋口に清輝楼にいらして、この3階から見た宮津湾の情景を作品にされました。「橋立は しぐれて 冬の来るかな」という古歌がありますが、天気雨やにわか雨が多くなるとこのあたりは冬への誘いとなります。 そんな情景を藍の色で表現されました。藍も一種類ではなく、5段階くらいの濃淡で、濃い藍から白までを使って表現されています。
最近は若い方がこういったシックな着物を選ばれることが多くあります。特に年令を問わず白か黒の帯でモノトーンに着て欲しいとお話しされていました。

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きざはし会ワークショップ4講座募集中10/29・10/30・10/31・11/1 |
ワークショップ ~文人墨客の宿清輝楼で、ものつくり体験~
●ワークショップ参加費 1講座2,500円(材料費含)/定員各講座15人(先着順)
■絞り染め講座 お好きな文様を絞って染めましょう。地元特産の丹後ちりめんで絞り染めのショールをつくります。簡単な絞りで意外な出来上がりが楽しめます。
日時 10月29目(木) 午後1:00~4:30 講師 足立昌澄、伊藤愛一郎 持ち物 エプロン・糸切りバサミをご持参ください。
■木染め講座草 今回は、サボテンに付くコチニールという虫で濃いピンク色を染めましょう。生地は丹後の絹織物を使用します。コチニールは食品や口紅の赤を出すのに使われています。 日時 10月30日(金) 午後2:OO~4:30 講師 上原晴子、津田昭子、宮人映 持ち物 エプロン・ビニール手袋をご持参ください。
■陶芸講座 たたら板を使って角皿や色々な形の豆皿を作ったり、てひねりでお茶碗や小鉢、ぐいのみを作ります。世界で一つしかない自分の焼き物を作ってみましょう! 日時 10月31日(土) 午前の部 午前9:45~11:15 午後の部 午後2:OO~3:30 講師 柴田良三、近藤知子 * 陶芸作品は焼成後まとめて清輝楼に送付いたします。遠方で取りにこられない方は別途送料が必要です。 ■七宝焼講座 美しいペンダントやブローチを作りましょう。銅版の上に好きな模様をカラフルな七宝釉薬をのせて焼き、自分だけのアクセサリーを作ります。完成後は胸に着けて楽しく帰れます。 日時 11月1日(日) 午前の部 午前9:45~11:15
講師 岡弘美、加藤忠雄
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きざはし会展 近藤知子先生 |
近藤知子(こんどう ともこ)先生(陶)
1950年 兵庫県西宮市に生まれる 1972年 甲南大学文学部卒業 1985年 滴翠美術館付属陶芸研究所専攻科修了 1987年 新匠工芸展新人賞受賞 女流陶芸展京都府知事賞受賞 京都工芸美術展優秀賞受賞 1990年 新匠工芸展会友賞受賞 1991年 朝日陶芸展シドニー展選抜 新匠工芸展知事賞受賞 1992年 淡交ビエンナーレ茶道美術公募展奨励賞受賞 2007年 日本伝統工芸展入選 日本工芸会準会員
近藤先生は2年前に上原晴子先生と清輝楼にて二人展を開催していただき、きざはし会展の礎を築いていただきました。
そんな近藤先生にどうして陶芸の道に進まれたのか伺ってみました。大学卒業後、元々趣味として研究所に入られたそうですが、もっと専門的に学びたいということで陶芸研究所の2年間の専攻科に進まれました。専攻科の様子を伺うと、様々なテストがあるそうです。①最初は2時間でバイというものを120個つくること。②クミダシを90個つくること。同じように③鉢。④一輪挿し。⑤皿。⑥大皿。⑦大つぼ。という具合に一つ一つクリアしないと前に進めないそうです。なんかすごいですね~。厳しい関門をくぐり抜けてこられたんですね。

現在は写真にあるような幾何学模様を得意とされていますが、このスタイルは初入選した頃から傾倒しておられるようです。本当に大きなつぼで、これに綺麗な紋様をつけて焼き上げるのは大変なことだと思います。すごい!!






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きざはし会展 津田昭子先生 |
津田昭子(つだ あきこ)先生(織)
1946年 京都市に生まれる 1966年 京都府立大学女子短期大学部被服科卒業 1982年 志村ふくみ氏に師事 1988年 おぐら会展に出品 1994年 日本伝統工芸近畿展に初入選 2000年 染織展個展(ギャラリーカト) 2003年 染織・陶展ふたり展(ギャラリー賛) 2005年 日本伝統工芸染織展初入選 2006年 日本伝統工芸展初入選 2007年 染織・陶展ふたり展(ぱるあーと) 日本工芸会準会員

「黄葉」
京都の四季折々の美しさを作品に表現される津田先生、今回はイチョウ並木の美しさを作品にされました。例えていうなら紫明通、銀閣寺、御所、嵯峨、清涼寺あたりのイチョウの風景でしょうか。
鮮やかな黄色ですが、これはカリヤスで染められました。染める回数で濃淡を付けられるそうです。 縦に入っている濃い緑はクチナシと藍から染めたもの、また薄い緑はカリヤスと藍の生葉で染められました。なんと先生は藍を自分で育てておられるようです。自分で育てた草花で糸を染められ、その糸で織りをされるので、まさに自然の恵みをそのまま作品に生かされています。だから津田先生の作品はやさしい印象がするのでしょうね。ご本人もとても穏やかな方です。

「川辺」
桂川の南に背割堤の桜があり、それを作品にされました。近づいてみるとたくさんの色が入っています。いろいろ取材をして感じますが、織物は遠くから見ると絵画のように見えますが、よくよく近づいてみると非常にたくさんの線や色が使われておもしろいですね。それだけご苦労して織っておられるのですね。

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きざはし会 朝日新聞に紹介される |

工芸13人の秀作100点
宮津の旅館で「きざはし会展」
日本工芸会員の優れた作品を紹介する「きざはし会展」が27日、宮津市魚屋の老舗旅館「清輝楼」で始まった。染織、陶芸、金工、人形の4部門で、工芸家ら13人の約100点を展示する。11月1日までで無料。29日から出品作家が講師を務めるワークショップも開かれる。 染織の宮入映さんは、紫根の「さび紫」にグレーがかかった染織に仕上げた着物「月華」を出展。初参加の人形部門には岡弘美さんがパンツルックの若い女性を表現した「まなざしの行くえ」、金工の加藤忠雄さんは花挿「蝶文花挿」を出品している。 ワークショップは、29日「絞り染め」、30日「草木染め」。31日「陶芸」、11月1日「七宝焼き」。参加費は材料費含み2500円。問い合わせは清輝楼(0772-22-4123)へ。
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きざはし会展 宮入映先生 |
宮入 映(みやいり えい)先生(織)
1960年 長野県坂城町に生まれる 1991年 山根正平氏に師事紬織を学ぶ 1994年 京都市で染色・織物組織を学ぶ 2004年 日本伝統工芸展初入選 2006年 日本伝統工芸近畿展初入選 2008年 日本伝統工芸染織展初入選 日本工芸会準会員

「月華」
この作品は第38回日本伝統工芸近畿展において松下幸之助記念賞を受賞されました。本当におめでとうございます!
紫の色は紫根(しこん)の染料で、グレーを入れて渋さの中に紫の美しさを出るようにされています。 宮入先生は組織織り(そしきおり)を得意とされていますが、それぞれ大きさの違う組織を組み込まれることによって、波打つような動きが出てきて、月光のおぼろな感じがでています。組織織りを得意とされる方は少ないようです。また組織の合間に絣を入れられています。

生絹(すずし)ストール「茜」
今回のきざはし会展のために織っていただいたストールですが、横の糸が見えないですよね!髪の毛よりも細い糸を使われているためですが、羽衣のような透けてやわらかな雰囲気を出されています。本当に美しく透けていますね。

無理を言って先生に羽織っていただきました。透き通る羽衣ですから、天女のようなイメージですね。

同じく生絹(すずし)ストール「橡」(つるばみ)
「橡」(つるばみ)とはドングリの古い名前だそうです。きざはし会展に来ると金偏・糸偏・木偏の漢字に強くなりますね! どんぐりを鉄媒染して、各グレーの濃さが違う糸をつくって、織り込むのだそうです。この前子供とドングリ拾いにいきましたが、あれからこんな美しい色がでるなんて・・・

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きざはし会展 細見巧先生 |
細見 巧(ほそみ たくみ) 先生 (織)
1952年 兵庫県に生まれる 1977年 京都市立芸術大学卒業 1993年 日本工芸会正会員に認定される 1997年 日本伝統工芸染織展にて東京都教育委員会賞を受賞 1999年 日本伝統工芸染織展にて文化庁長官賞を受賞 2001年 日本伝統工芸染織展にて北國新聞社賞を受賞 銀座和光にて「うすはたの会」展出品 2005年 イギリスロンドンにて「うすはたの会」出品 日本工芸会正会員 京都工芸美術作家協会会員

綴れ織り「集」
単刀直入に、綴れ織りってわかりやすく言うとどんなものですか?と先生にお尋ねしました。 横糸のことを緯糸(ぬきいと)と言い、緯糸(ぬきいと)が縦糸をくるむようにして織り、その緯糸(ぬきいと)で表現するのが綴れ織りの特徴だそうです。ですから糸で織り込んでいても絵画的なことが表現できるのだそうです。不思議ですね。
遠目から見るとまるで模様が画かれているように見えますが・・・

近づいてみると別のデザインのように見えます!たくさんの緯糸(ぬきいと)が織り込まれているのがわかりますね。白くなっている部分は途中で織り返しているのだそうです。織りってなんだかおもしろいですね。

綴れ織り「あさもや」
水面で美しくゆらいでいるようなイメージのものです。綴れ織りは絵画的な表現ができると言われましたが、まさにそんな感じです。

さっきと同じように近づいて見ますと・・・ハツリ目と言って織り返している部分に穴が開いてしまうのですが、そのハツリ目が全く分らないですね。ということはそれだけ上手に織られているということなのです。 綴れ織りは遠くから見るのと、近づいて見るのとでは、違う印象があるのが興味深いです。 奥が深い!

細見先生は日本画を高校生の頃から学んでこられました。私も大変関心があるのでいろいろとお話しを伺うのですが、江戸時代の京絵師の流れをくむようなお話しが聞けてとても楽しいです。京絵師のDNAはここにも受け継がれていますね。
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きざはし会展 伊藤愛一郎先生 |
伊藤愛一郎(いとう あいいちろう)先生(染)
1957年 名古屋に生まれる 1979年 名古屋工業大学卒業 京都にて日本工芸会正会員染色作家山科春宣に入門 染色一般を修行 1984年 第13回日本工芸会近畿支部展(現日本伝統工芸近畿展)初入選 1988年 独立自営 1993年 第40回日本伝統工芸展初入選 2004年 日本工芸会正会員認定される 日本工芸会正会員・京都工芸美術作家協会会員
今回展示して頂いたのは1993年 第40回日本伝統工芸展初入選した思い出の作品です。タイトルは「陽光」。やはり思い入れが深いようで、技術は今の方が上達しているけれど、当時のまっすぐな作品に対するひたむきさが出ている、と感慨深くお話しされます。最近は蝋などで染めをされますが、この作品は糊で丁寧に仕上げられています。
自然の命、思いを受け止めて伝わるようにしたいというのが先生の作品に対する思いですが、最近の作品は魚をモチーフにしたものなど、独自のテーマをもたれています。昨年展示していただいた、魚の大群の大回転など水族館にいるような臨場感がつたわって来て私は大好きでした。
今後の展望をお聞きすると、「誰かが自然と着たくなるような着物を作りたい」と作者の思いとそれを着る方との思いがつながるような作品を目指されています。初志貫徹で創作に励んでこられましたが、これからもますます意欲的に活躍されるのを感じました!


フラッシュのよるこんなに色合いが違います。写真は難しいですね。

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きざはし会展 上原晴子先生 |
上原晴子(うえはら はるこ)先生(織)
1948年 京都市に生まれる 1984年 日本染織学園研究科卒業 1993年 ’93美術選抜展選出 1996年 京展 日本経済新聞社賞 1997年 ’97京都美術工芸展 優秀賞 2001年 日本伝統工芸近畿展 京都府教育委員会教育長賞 京都市芸術文化協会賞 「京都の工芸 in エディンバラ展」選出 2005年 京都工芸美術作家協会展 知事賞 2006年 日本伝統工芸染織展 文化庁長官賞 日本工芸会正会員・京都工芸美術作家協会会員

「霜月の頃」
霜月ということでちょうど今時分の季節ですね。晩秋に風車のように散っていく葉が緑で表現されていますが、この部分は先生の得意とするタテヨコ絣が使われています。鮮やかな秋色が織り込まれていますが、よくよく近づいてみると沢山の色が使われているのに驚きます。伺うとケヤキ・車輪梅などから染め出したものが6種類以上使われているそうです。たくさんの色ですが遠くからみると秋そのものになっていくのはおもしろいです。
これまでたくさん上原先生の作品を見てきました、ブルーを良く使われてきたイメージがありますが、今回はそういった意味では希少な色遣いとも言えます。 以前東大寺のイチョウを表現された黄色い秋の作品もありましたが、あらためて自然の草木をつかった草木染めの奥深さをかいま見たような気がしました。
いつもパワフルな上原先生には私も元気をもらうような気がします。

フラッシュの加減で違う色に見えますね。








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きざはし会展 足立真実先生 |
足立真実(あだち まみ)先生(織)
1967年 京都市生まれ 1990年 京都精華大学染織科卒業 1994年 紬織作家・村上良子師に学ぶ 2002年 日本伝統工芸展近畿展「日本工芸会賞」受賞 2002年 草木染ビエンナーレ・in・あいち「準大賞」受賞 2003年 日本つむぎ大賞新人賞「大賞新人賞」受賞 2004年 全国染織作品展「奨励賞」受賞 2005年 日本伝統工芸染織展 「新人奨励賞・京都新聞社賞」受賞 2006年 日本伝統工芸展「新人奨励賞」受賞 2007年 Handwerk macht Mode(Munchen) 日本工芸会準会員
「イギリス組曲」
バッハの音楽から作品をつくられる足立先生は、今回はイギリス組曲をテーマに作られました。イギリス組曲はバッハのチェンバロの曲、イギリスの石積みの教会を表現したいと、この作品を作られました。
足立先生は大学で染色の指導をされていますが、先生が学生の頃は現在ほど講義が多彩ではなかったようです。現在は地方に在住の若い方が「京都で着物の事を学びたい」と京都に集まって来られるのが大変多いと言われます。最近は着物を着る方が少ないように思われがちですが、若い世代にもしっかりと受け継がれていることをうれしそうにお話しされています。何も着物は遠い存在ではなく、ごく日常にあるものだと、身近に感じてもらえれば。。。とお話しされていました。
先日、天橋立で能「丹後物狂」が上演されたので、足立先生と能について少しお話しをしました。以前から能を熱心に鑑賞されている先生は、能をテーマに着物を創作されたこともあるそうです。少ない動きで感情を表現する能と、着物は相通じるものがあるのでは、とお話されていました。





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きざはし会展 加藤忠雄先生 |
加藤忠雄(かとう ただお)先生(金工)
1939年 京都市に生まれる 1964年 京都府工芸美術展出品(受賞8回・京都府買上6回) 1965年 京都市美術展出品(受賞4回・審査員4回) 1967年 日展出品(入選13回・外務省買上) 1976年 京都府より海外研修として欧州へ派遣される 1980年 日本新工芸展出品(受賞3回) 1985年 京都の現代作家15人展出品 1988年 京都府文化博物館の壁面装飾を制作 1991年 現代京都の美術・工芸展出品 1993年 日本伝統工芸展出品 近畿展出品(受賞3回) 2002年 加藤忠雄金工三代展(茨木市主催) 日本工芸会正会員・京都工芸美術作家協会理事
金工には大きく分けて、彫金(ちょうきん)・鍛金(たんきん)・鋳金(ちゅうきん)とありますが、加藤先生は彫金と鍛金がご専門です。
先生は去年のきざはし会展の後、平成20年11月17日~12月6日まで、フランス パリで「工芸京都の精華展」として展覧会をされました。(日仏交流150周年記念、京都・パリ友情盟約都市提携調印50周年記念、主催:工芸京都)そのお話を伺うと、ヨーロッパには甲冑などの技術はあっても彫金の技術はなく、フランスの皆さんも先生の作品にびっくりされていたそうです。フランスでは違う文化でも皆さん熱心に鑑賞されていたそうです。

花挿「蝶文花挿」
銅の作品ですが、ボディは銀メッキがしてあります。これは杉の葉などの枯葉で炙るのだそうです。取っ手の赤い部分は硫酸銅・緑しょう・みょうばん・梅酢などを混ぜて煮るそうですが、何故かそこに大根おろしを入れるのが昔ながらの技法だそうで、大根おろしを入れるとアラ不思議、いろんな色に変わっていくそうです。
彫金作品は鑑賞用にされる方が多いですが、先生は是非実際に使ってほしいということで、この花挿しを作られました。先生がお好きな山野草をいれてはいかがでしょう。


香炉「純銀羽文香炉」
これは大きな銀の板をたたき上げるのですが、3~4日かかってこのようなつぼ状になるそうです。 表面の飾りをするためには、松やに・地の子(砂)などをいれて、肉をつけていく技法です。
実際に中を見せていただきましたが一枚の板からこんな美しい物が出来上がるなんて信じられないです。人間の技術というものは素晴らしいですね。
昨年は香炉などが中心でしたが、今年は花挿しなどを多く展示していただきました。

花挿「双波花挿」

置物「「かとれや文置物」








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きざはし会 中川正洋先生 |
中川正洋(なかがわ まさひろ)先生(染)
1950年 兵庫県洲本市に生まれる 1972年 京都にて友禅染を始める。 小西寿生氏に日本画師事 1983年 新人染織展にて意匠賞 1999年 日本工芸会正会員に認定される 2003年 日本伝統工芸近畿展 日本伝統工芸近畿賞 2004年 日本伝統工芸近畿展 京都府教育委員会教育長賞 2008年 京都工芸ビエンナーレ 産経新聞社賞 日本工芸会正会員・京都工芸美術作家協会会員
中川先生は「もち糊」(餅米・ぬか・塩をまぜたものを蒸してつくった日本古来の糊)や「蒔糊」(前述のもち糊を乾燥させて砕いたもの)をつかった染めを得意とされています。
写真で並んで写ってらっしゃる作品は「清晨」(せいしん)、夜明け頃という意味です。琵琶湖のアシの群生をイメージしたものです。現在琵琶湖にはアシの群生は少なく、保護区になっています。何度も何度も琵琶湖に足を運ばれてスケッチをされました。
先生は、普通の方とは反対に糊をおいたところを染まらないようにする技法ですので、アシの絵を画いているように見えますが、実際は白いところを画いておられます。所々夜明けの光が見えるのが分りますでしょうか。これがこの技法でしか出せないこだわりです。

うしろの襖の書(200年前の儒学者の書)との演出がおもしろいですね。


名古屋帯「清流」
これは実際にイワナを樽にいれてスケッチをされました。 私は何となく稲垣稔次郎(型染めの人間国宝、清輝楼のアメニティグッズのデザインをしていただいた方)の絵に似ているなと思いましたら、中川先生は稲垣稔次郎や芹沢介を目標にされていたようで、ただし型染めではなく、独自の糊の技法で迫りたいとお話しされていました。

川にいるイワナの上下にデザインされているのは、糊をわざと割れるようにしてされました。

名古屋帯「山帰来」

これも上と一緒で葉の葉脈になっているのが糊の割れを使った技法です。しっくりきていますね。

私は思いますに、江戸時代の絵師のDNAの多くは染めの作家さんに受け継がれていると思います。中川先生は四条派に師事されましたが、まさにその世界が繰り広げられています。 日本画の命はスケッチと言われます。一瞬一瞬で全く違う表情を見せる自然を「糊」のせきだしで表現するのは大変困難なことだそうです。
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伝統工芸展「きざはし会」始まる!10/27~11/1 |
日本伝統工芸の展示会 「きざはし会展」」がいよいよ始まりました! 清輝楼の3階大広間を使って、現代の文人達が集まります。今年は13名の作家さんが集まっていただきました。なかなか見られない、伝統工芸の数々を是非ご堪能下さい!







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能 丹後物狂 上演 600年の歴史の縁に感激! |
昨日10月24日は待望の能「丹後物狂」が上演されました。
その前日には「丹後物狂」を十倍楽しむ講演会が開催され、午後は開催場所である智恩寺で、夜はみやづ歴史の館でありました。 先生方もなかなか集まっていただけない素晴らしい先生方ばかりで、よくこれだけの方々が一同に集まっていただいた!というのが率直な感想です。
大変分かりやすい解説をしていただきました。


いよいよ能の上演当日です。実際の演目の画像をお見せできないのが残念ですが、本当に素晴らしい能でした。
今回の素晴らしさをポイントだけまとめると、
①約600年前に足利義満(室町幕府三代将軍)が6回(2番目に多い)も天橋立に来ている。この事自体がすごい!義満は伊勢には11回(1番多い)行っており、伊勢と元伊勢の地をつかむことで、日本国王になろうとしていたのでは、と言われています。
②その義満についてきた世阿弥(ぜあみ)が井阿弥(せいあみ)の原作を基に「丹後物狂」をつくった。
③ストーリーは:「丹後物狂」は、天橋立の智恩寺文殊堂で願掛けをして生まれた子どもをめぐるホームドラマである。近くの領主岩井殿(シテ)の一子花松(子方)は成相寺の稚児として勉学に励んでいたが、実家に帰ったとき、雑芸も上手だと聞いた岩井殿が腹を立て、勘当してしまう。花松は海に身を投げたところを助けられ、九州彦山の寺で学問に励んで大成し、説教僧として文殊堂に帰ってくる。そこに子を失って物狂いとなった父親が行き合わせ再会する、というストーリーである。(天橋立観光協会HPより抜粋)
④「丹後物狂」が1400年前後頃に出来たとして、雪舟が「天橋立図」を画いたのが約100年後の1500年頃。この有名な天橋立図にはすでに「丹後物狂」が地元に根付いていたことをビジュアル的に語っている。花松が身投げした「涙ヶ磯」などがクローズアップされている。
⑤世阿弥はこの「丹後物狂」を著作の中で数多く取り上げており、並はずれた関心、力の入れようがうかがえる。江戸時代初期以降何故かしばらく途絶えてしまっていたが、今回それを復曲していただいた。
⑥世阿弥の子孫である観世流の宗家親子が、親子の絆の物語を演じるということ。物語の舞台となり上演場所となる天橋立智恩寺は境内の建造物やご本尊は600年前に義満や世阿弥、そして雪舟が参詣した時と同じ形で遺されている、という長い長い歴史の糸を紡いできたような今回の能。
⑦普段は見ることの出来ない智恩寺のご本尊「文殊菩薩」様がご開帳され、その目の前で観世流宗家親子が再会の喜びを丹念に演じる。最後には「大聖文殊の利生なり、大聖文殊の利生なり。」と結ばれるこの物語は、本当に文殊菩薩様のお蔭に他ならず、このことに感激して最後は号泣する方が多くいらっしゃいました。
⑧今回の上演まで数年かけて準備してきました。多くの学者さんや、本当に多くの方々のお蔭でこの日を迎えましたが、私も実行委員会の末席に連ならせていただき、本当に感謝しています。



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和貴宮神社 秋祭り神楽舞 |
昨日、10月15日には清輝楼から歩いて5分の氏神様、和貴宮神社にて秋のお祭りがありました。私は神楽講に入っているので、神楽舞をさせていただきました。
はじめは白い衣装で「鈴の舞」でお清めをします。右側が私です。

続いて赤い衣装に着替えて、「剣の舞」「吉野舞」 剣などを使いで邪気を払います。左側が私。


最後は金襴の衣装に着替えて「神来舞(しぐるま)」です。これは本当に難しい舞で、習得するのにかなり年数がかかりました。左側が私。

今回ずっとペアで神楽舞を奉納した宮崎君です。彼とは同級生です。彼はかなり舞が上手!なので私も見習いたいです。今回ご紹介した衣装は全て衣装部の師匠が一人で作られました!すごいですよね!!素晴らしい衣装に負けないような舞を披露しなくては!

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10月9日(金)・10日(土)・11日(日)和火2009開催 |
今度の10月の連休には清輝楼から歩いてすぐ近くの寺町で和火(やわらび)という催しがあります。 10月9日(金)・10日(土)・11日(日)18時~21時頃 城下町の宮津を偲び、約8000個の燈籠が寺町を飾ります。大変人気のあるイベントで、各お寺ではミニコンサートなどの催しがありますし、地場産品も楽しめますので、是非この機会に宮津にお越し下さい!






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